「自己破産」とは、裁判所の手続を通じて、自己の財産(生活に必要なものを除く)を債権者に公平に分配する代わりに、残りの支払を免除してもらうという債務整理の方法です。
 裁判所の破産決定を受けた後に得た収入や財産は、債権者に配当する必要はなく、ご自分のものになりますので、破産決定を受けることで経済的な再生が可能になります。

自己破産手続の大まかな流れ(同時廃止事件の場合)
 同時廃止事件とは、債権者に配当する財産が少なく、また、破産に至った事情に問題がない場合に、手続を簡易に済ませる形の破産手続のことです。多くの破産事件は、この手続で行われます。

受任通知
司法書士が、債権者に「受任通知」を出します。
 債権者に司法書士が関与したことを伝えて(受任通知)、債権者に取引履歴(依頼者と債権者との借り入れや返済などの取引の記録)の提供を求めます。
 また、債権者が貸金業者の場合、その貸金業者は司法書士からの「受任通知」を受け取った時点で、依頼者に対する返済の督促をストップします。

債権額の確定
司法書士は、債権者から取引履歴の開示を受け、これをもとに債権額を確定します。
 債権者が貸金業者で、いわゆるグレーゾーン金利で貸し付けをしていた場合、司法書士は取引履歴をもとに、これを利息制限法に定める利率(元本10万円未満は年20%、10万円以上は年18%、100万円以上は年15%)に引き直して債権額の再計算(多く払いすぎた利息を元本に充当して計算)をします。【グレーゾーン金利については、こちら】
(以上は、任意整理と同じ流れです。)

破産手続の決定
各債権者の債権額と依頼者の方の資産状況・支払能力をもとにお客様と話し合い、破産手続することを決定します。
(司法書士が独断で、破産手続をすることはありません。)
申立書類作成
破産申立に必要な書類の準備・書類作成。(数回、お打ち合わせをさせていただきます。)
司法書士による破産申立書類の提出
破産手続費用を司法書士にお預け願います。
破産同時廃止決定
早ければ、書類提出から1週間程度で決定がなされます。
 少額の配当可能な財産をお持ちの方は、司法書士関与のもと、財産の配当手続をする場合があります。
 また、裁判官が破産に至った事情を詳しく聞きたいと判断した場合は、裁判所へ行って裁判官の面接を受けて頂く場合があります。この場合は、2か月程度の期間を要します。
 一定以上の財産をお持ちの方、ギャンブルやひどい浪費等が原因で破産をされた方については、破産管財人という第三者機関が関与して、財産調査や配当をきっちりと行う本来の手続(管財事件といいます。)になることもあります。この場合は数か月の期間を要します。
免責についての意見申述期間(約2か月)
裁判所が、各債権者に対して、免責(依頼者の債務を免除をすること)について意見がないかを聞く期間です。債権者から意見が出ることは、あまりないようです。
免責決定
免責決定が出れば、今までの債務は免除されます。
終了
費用等精算をして、関係書類を依頼者にお渡しします。
※受託から手続終了まで、おおむね4〜6か月かかります。  

 原則として借金がすべて免除される点が、破産手続の一番の特徴です。その代わり、ご自身の所有する20万円以上の財産(車や宝石・不動産など)は原則、処分されてしまいます。また、手続中は、一定の職業に就けなかったり、引越しの制限が付く場合があります。

費用(※当事務所に依頼された場合)
1件につき 基本報酬:210,000円(税込)
この他に、破産予納金10,290円、破産申立書に貼る収入印紙1,500円、予納郵券数千円等の実費が2万円程度必要になります。

 なお、収入が一定額以下の方には法テラス(日本司法支援センター)による法律扶助を受けることができます。
 法律扶助とは、弁護士や司法書士に支払う法律手続の費用を法テラスが立て替えをして、お客様は法テラスが立て替えたお金を、1月1万円程度の分割で法テラスに支払っていくという制度です。
 この制度を利用すれば、破産申立費用は101,000円(税込)となります(破産予納金は別途必要です。)ので、ぜひ、ご活用下さい。法律扶助の申込手続は、当事務所を通じて行います。